こわい・・・

こわい・・・こわい・・・!!

怖い怖い怖い怖い怖い!!怖い!!!!

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・!!」

「どうした志狼・・・打ち込んでこんかァ!」

ここは御剣道場の中。
エリィが昏睡状態で引っ越していってしまったほんの数日後。

そこには四つんばいになっている齢3歳の志狼と、そのそばに落ちている木刀。
悪鬼の如き殺気を身にまとう剣十郎。その手には木刀。

数日前、志狼はエリィと木登りをしてちょっとしたアクシデントでエリィに大怪我をさせ、昏睡状態にしてしまった。
後悔ばかりがつのり、極めつけに目が覚める前にエリィは引っ越していってしまった。
謝りたくてもかなわない。そんな悲しみから数日間泣きつづけた志狼に剣十郎が放った言葉は

「守りたいものを守れるぐらい、強くなれ」

だった。
そしてその言葉に対して志狼が放った言葉は

「父さん・・・僕に・・・剣を教えてよ!!今度こそ・・・今度こそ!あいつを守れるように!!」

そういった志狼を剣十郎は道場につれてくると木刀を持たせ、一撃を放った。
なんとか木刀を立てて防御するものの、志狼は木刀ははじかれ、自身は激しく床に叩きつけられる。

後少し木刀を立てるのが遅れていたら・・・

まるで実戦そのものだった。

「剣を習いたいのだろう?早く木刀を取れ」

剣十郎はそういうが志狼は体を振るわせたまま荒い息をついている。
今のままでは例え木刀を持ったとしてもがちがち震えている手のせいで再び木刀を落してしまうだろう。

「お前は剣を習いたいといった。それはこういうことだ。少しはわかったか?」

そんな志狼に向かって剣十郎はゆっくりと言い聞かせるように喋る。

「・・・」

「今のワシがもしも敵意を持った敵だとするならば、お前は死ぬ可能性もあるということだ。わかるな?」

うつむく志狼。

「・・・木刀は重かったか?」

コクン

志狼は頷く。

「剣の重みはそのものが背負う責任や宿命の重さだと、先人は言った。それもわかるか」

「・・・・・・」

「少しむずかしいか。まあこれはその内わかってくるだろう」

フウと一息つくと剣十郎は周りを見渡し、志狼に言う。

「志狼。例えば、お前の後ろにエリィちゃんがいるとしよう」

「!!」

志狼の表情が強張る。
涙が出てくる。
涙が止まらない。

そして剣十郎はこう言葉を続ける。

「そして・・・ワシがエリィちゃんをさらいに来た敵だとしよう」

「え!?」

「お前は・・・そうしていつまでも泣いているつもりかな?」

「・・・」

はっとして志狼は手で強く目をこする。
が、涙は止まらない。

剣十郎は少し笑うとまた表情を引き締める。

「さて・・・お前のとなりに力が転がっているな?」

「!」

志狼は木刀に目線を落す。
と、泣きながら木刀をつかんで剣十郎をみようみまねで構える。

「その木刀は重いぞ?」

たしかに重い。
大人用の木刀。
指がしびれ、肘が痛み、肩がもげそうだ。

小太刀と呼ばれる小さな木刀もあるのだが、剣十郎はあえて、この木刀を志狼に持たせた。

「あるいは剣を持ったことによってお前は死ぬかもしれない」

「・・・!!」

「それでも・・・お前は剣を持つことを選ぶか・・・?」

体は震える。
重みのせいではない。

「ぬん!!」

剣十郎の斬撃。
もの凄い剣圧で空間が悲鳴をあげる。

こわい・・・

こわい・・・こわい・・・!!

怖い怖い怖い怖い怖い!!怖い!!!!

それでも・・・それでも!

ビョウッ!!

(よけた!?)

志狼の眼つきが変わった。
相変わらず涙を流しながらではあったが・・・何かがちがう。

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

志狼は剣十郎に向かって駆け出す。

ガキィッ!!

志狼の一撃を剣十郎は木刀で支える。

(剣の重みはそのものが背負う責任や宿命の重さ・・・か。確かな重みを感じるよ。志狼・・・)

ドサ・・・

「!」

今の一撃を繰り出した直後、志狼は気を失ってしまう。
すでに最初の剣十郎の一撃で限界だった。

「強くなる。お前はきっと強くなれる・・・」








剣十郎「・・・という感じだったな」

エリィ「ほほう・・・なるほどなるほど」

剣十郎は想像上とはいえ志狼が涙を流しながら守ろうとした人の名前を目の前の少女には伏せておいた。
理由は・・・なんとなくである。

エリィ「またまたお話してくださってありがとうございます!おじ様♪」

剣十郎「いやいや」

志狼「お〜い、食事の用意ができたぞ〜!何だエリィ、お前またきてたのか?」

エリィ「うん♪ちょっとお話を聞きにね♪」

志狼「・・・聞く必要もないかもしれないけど・・・食ってくか?」

エリィ「シローの手料理シローの手料理♪」

志狼の質問を聞く前にエリィは剣十郎の部屋から出て行ってしまっていたりする。

志狼「・・・オヤジも早くこいよ?料理冷めちまうからな」

志狼も剣十郎の部屋を出て行く。

剣十郎「・・・そういえば志狼の奴が家事をするようになったのも確かその翌日あたりからだったか?」

剣十郎は微笑を浮かべると部屋から出て行く。

剣十郎「オヤジ・・・と呼ぶようになったのも・・・な」

パタン

剣十郎は部屋の扉を閉める。





突発てき番外編〜♪志狼ちゃんバージョーン!!

さっそくエリィにレポートさせてみました(笑)

ちょっと短いと思いましたか?それとも・・・?

ではでは・・・

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